英国芸術大学の春休みショートコースに送ってみて |

こんにちは、青井です。先月のアメリカ西海岸大学ツアー1330キロの旅情報もシェアさせてもらおうと思っているうちにロンドンのアーツカレッジに来てしまったのでそちらを先に。。
アメリカの大学は上の子の大学受験が目前で今回だいぶ回ったのでずいぶんと事情がわかってきたものの、イギリスの大学を見るのは今回が初めて、それもなぜかアーツカレッジ。
これはあくまでも素人の感想ですが色々な意味で情報がとっても少ないのでご参考になれば。。
選択肢が直線から3Dに

昔自分が大学を受験する時には私自身海外の大学に行くという選択肢を考えていなかったので、文系か理系か、国立か私立かを選べばあと何となく大学を偏差値順に並べて自分の偏差値にあったところを上から選ぶというようなイメージで「直線的」な大学選びだった気がすします。
時代そのものも大きく変わり現在下の子供はIB(インターナショナルバカロレア)のインターナショナルスクールに通っているので大学選びも当然かつての自分とは全く違うので正直親も戸惑うことばかり。。
選べる大学が地理的に広がり面になったのとさらに理系文系といった単純な話ではなくなったことで大学選びが「直線から3D」になってしまいました。
IB校とAP校

IBって何?という方も多いと思いますが、日本のインターはIB校とAP校がありましてプログラムが違います。プログラムの説明するととても長くなってしまうので割愛しますが、とってもざっくりと大学受験に限っていえばAPはアメリカの高校で多く採用されているシステムでアメリカの大学はAPの成績を見るので受験は楽ですが、世界の他の大学ではAPをカウントしないところがほとんどです。
アメリカの高校に通う息子によればオックスフォードやケンブリッジにアメリカの高校から入学するのはハーバードにはいる10倍大変と言っていました。
10倍の真偽は不明ですがアドミの先生も1年生の時からの入念な準備が必要といっていたました。またアメリカの大学のオーバーシープログラムは異常なまでに充実しているので入学してから1学期間、または1年など世界数十各国のプログラムに参加するのは比較的簡単で全学生の20~30%が利用するほどなのでそちらを考えたほうが賢明という印象
IB校は世界各国で採用されていて世界中の大学でIBの成績を受け入れる所が多いので理論的にいは世界中の大学を受験できます。もちろんアメリカも受験できますが、先日訪れたアメリカのメジャーな大学のアドミが「IBの成績は何点が必要?」という欧州から来た父兄の質問に「あ~、ちょっと今すぐにわからないわ」と答えていたのにびっくりしました。
アメリカではIBをとっていてもSATやTOEFLはしっかり受けさせるというところがほとんど。要は極端ないい方ですが自国の制度以外のIBは受け入れはするけれど自国の制度であるSATもちゃんと受けてあなたの実力証明してね。。といった印象はあります。AP校に比べてIP校はまだまだ世界的にものすごく少数ですし。
反対にカナダとかではIBのほうがAPより有利に感じるといっていた父兄もいました。
ちなみに日本の大学もIB,AP両方うけられるとおもいます。
LDNのアーツカレッジ

University of the arts london 、というよりsaint martinsとったほうが通りがいいようですがロンドンのアーツカレッジでとっても回りで評判が高いので前から気になっていました。ロンドン芸術大学自体はSatin Martinsなど6つのカレッジを要するヨーロッパ最大の総合芸術大学です。
ジミーチュー、アレクサンダーマックイーン、ステラマッカートニー、コンラン卿など有名アーティストやクリエーターを多数輩出する名門校
興味がある大学がある場合サマースクールなどに参加するのが学校の雰囲気などわかっていいのですが夏休みに行ける学校はせいぜい1か所、夏休みは受験までに2回しかないわけですからよく考えないとなりません。
そもそもアメリカの大学などは日本と違って専攻を決めないではいるケースもとても多くてアーツ専攻とはじめから絞れていればそこばかり見ればいいわけですがうちの場合アートにも興味がある程度のものでそもそもアーツカレッジを選んでいいのかすらわからない状態。
というわけで今回春休みを利用して1週間だけのショートコースにトライアルの意味で参加してみました。
Cetral Saint Martinクールな大学

ロンドンのキングスクロス駅からすぐの所にある歴史的建物とモダン建築をミックスさせたクールな大学。大学ツアーしたわけではないのでアドミッションのあたりと教室に続くモダンな建物の入り口までしか同伴者は入れず、説明もきいていないのであくまでも印象なんですが。。
もはや子供のためのカレッジツアーが私自身の妄想大学選び、また趣味にもなってる感じもあり大体アドミッションの人と話した雰囲気や歩いている学生の感じなどで大学の感じは何となくわかるように。こちらは今まで見てきたアメリカの大学と比べたらずいぶんクール、イギリスらしさもそこかしこに感じます。そしてセキュリティーがやたら厳しい!

今回フォトグラフィーの初心者用コースをとったのですが教えてくれる先生はもちろん第一戦で活躍する写真家、スタジオでのプロのモデルを使った撮影や暗室で作業、ある写真家にヒューチャーした座学など盛りだくさんな内容に宿題も結構でてます。意見を人前で言ったりするのが苦手な娘ですけれど言いたい事がないわけじゃないんだなあ。。言いたい事いっぱいあるんだなあ、と改めて口がさきに立つ親としては考えさせられたり。ちなみに子どもは英語はインターなので問題ないわけですがものすごいアメリカンアクセントって言われたといっていました。ブリティッシュイングリッシュしゃべりたいなあ、とかいいながらエレベーターの中でブリティッシュイングリッシュで大げさにしゃべっていて笑えました。
また初めてのスタジオでの人物撮影も楽かったらしく何枚かはモデル本人に送る写真に選ばれたとうれしそう。

しかし所詮1週間程度で学べることには限度がありあくまでも体験ベースのお話なのですが色々とアメリカの大学との比較、一般的な大学と芸術大学との比較など色々と考えさせられました。
ロケーションの魅力

カレッジ1つとしてはアメリカと比べると小さくて広大なアメリカの大学をたくさん見た直後だったのでちょっとびっくりしました。ただ地下鉄が縦横に走り便利なロンドン、歴史と斬新なものが両立していて都市として成熟していてあまりに魅力的。
ロンドンは超一流のものがなんでもあり程よく力も抜けながら積み重なっているものの深さが感じられて、日本人から見ると共感と憧憬が入り混じる気持ちになります。ここで勉強できるというのはもうそれだけで街全体がキャンパスという面白さがあります。
あと几帳面な清潔さも感じる(これ日本人には結構重要だったりします)
ただ10代の子供が行くのには街が大きいだけその分怖さも感じました。ビジュアルアーツなどでは設備もクオリティも半端ないUSCやUCLAなどハリウッドに直結しているようなアメリカの大学もその威力は破壊的で驚愕しましたが、それでもキャンパスの中に寮があり街とはつながっているものの大学自体は隔離されている感じがあり、勉強する場としての安心感があります
アーツに絞ることの意味

これはアーツに限った話ではないのですが専攻を17,8で本当に決定できるのか?という問題が1つ。今世界中でリベラルアーツ系の大学に熱視線ですがそれも同じ視点からの話だとおもいます。
たまたま自身もデザイン系のアメリカの大学をでている友人やお子さんがアーツ系の大学を受験したママ友と話しているとアートをどう仕事に活か
すのか?というのは1つの大きなテーマ。
もう圧倒的才能がある天才系アーティストというのは別かもしれませんが、いまどきたとえそうであってもアーティストとてビジネスとは切っても切れない関係。ママ友の友人はアートはある意味作れるけれど習いたいのはそれをどうビジネスにつなげられるか?だからビジネスとアートをコンバインした学科を持つ大学に絞って受験したとか。なんでも全米でも5つ程度しかないらしいです。

ほほ~なるほど。友人は「アート系大学にはいってから挫折する人が驚くほど回りに多かった、私は当時そこまで考えてなかったけどアートで今成功している友人がいうには’アートだけじゃなくて色々な分野について幅広く勉強して興味を広げておくことが大事’といっていたのが今になってわかるわ。。」と語っていました。
ほほ~なるほど。。これはとてもわかる気がします。今回娘の受けているクラスの写真撮影の様子や作品をみて思うのは技術は教えてもらえる、でも何を感じるか何を撮るかは教えられない、ある意味自分で学びながら習得するしかないわけです。とするとアーツを勉強するにしてももしかしたらリベラルアーツ系の大学やアートも強いアメリカの普通大学などでダブルメジャーとかでアーツをとるというのもありか。。など。イギリスの大学はわかりませんがアメリカではダブルメージャーとかでアート系を含めまったくことなった専攻科目を取るのは比較的容易ですし、メジャーの変更もものすごく簡単らしいのでこのあたりもすごく魅力的。

また逆も感じました。AIの発達によって人工知能によって近い将来今ある職業がとってかわられようとしています。クリエイティビティーの定義はともかく会計士のような仕事は真っ先になくなる職業だとか。とするとどの職業にもアーティスティックな要素が必要になってくるとも言えます。という意味ではアート自体は多かれ少なかれこれからすべての人の必須科目じゃなかろうか。
さらに踏み込めばアーティストになりたいと真に願った場合アーツカレッジというのが解なのか?という逆の意味での疑問も沸いてきます。日本の現代アートを牽引するTeam Laboの猪子寿之さんの経歴をみてみると「東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチームラボ創業。大学では確率・統計モデルを、大学院では自然言語処理とアートを研究」。東大の計数学科なんてちょっと聞いたなら最もアートに遠い学科ですが、実際彼のアートはITはもちろんですが西洋と東洋の3Dの見え方の違いなど哲学的とも脳科科学的とも言える解釈の説明を読んだりするとクリエイティビティー、アートの意味が全く違って見えてきます。もちろん同じ教育を受けても猪子さんのような人が2人でてくることはないわけで一種の天才を例に一般的な大学選びを論じても無意味ではありますがとても示唆的です
もちろん一流の講師陣に若い時がら芸術に特化し総合的に学ぶというメリットは本当に魅力的。私が今仕事をおねがいしている若いアートディレクターにロンドンのアーツスクールのショートプログラムに子供が行くんだ、という話をしたら「セントマーティンですか?うらやましい!!!」と即答していました。彼女自身も会社を辞めての数か月の短期留学を考えたそう。すでに行っている友人もとにかく楽しい、と。キャンパス自体、街自体、そして授業が楽しくて仕方ないそうです。なるほど~~そりゃあそうだろう、私だっていきたいとわ。

つらつらと書きましたがやっぱりヨーロッパ一度は1~2年住んで見たいなあ,とまた頭の中で子供の話が自分だったら?という妄想にすり替わるのでした。