日仏刺繍対決!!ルサージュvs長艸 |

こんにちは、木枯らし一番がふいて初冬という雰囲気が漂ってきました。すっかり久しぶりになってしまいました、いろいろお伝えしたいことが溜まってしまっていて苦しい・・・まずは早速先日の弾丸1日京都ツアーでうかがった刺繍工房がとても素敵でした!。パリコレにも参加したことがあるという刺繍工房でそれは美しい絵画のような刺繍でした。
パリの刺繍工房Maison Lesage

そして対するのはChanelシャネル傘下のパリの刺繍工房Maison Lesage。もう数年前になりますが見学に訪れたルサージュもそれは巣晴らしかった。シャネルは1999年創立こういった芸術的価値が高い工房を次々と傘下におさめともすれが国外に流出してしまい滅びゆくこういった技術をフランスの財産としてしっかり保護していますね。しかしこの糸ミミズのような気が遠くなるビーズを1つ1つ手で刺繍してゆくわけですからね~ため息ものです。
職人さんが一本一本針をさしてゆくさま...


Maison Lesageは学校ももっていてしっかり後継者を養成しつつシャネルなどのラグジュアリーブランドもこういった工房を傘下におさめることでシャネルの仕事はもちろん、空いてる時間には他のラグジュアリーブランドの仕事もどんどん受けているそうです。

コストだけの問題ならばおそらく中国やベトナム、または東ヨーロッパなどに出したほうが安いでしょうけれども国の貴重な財産として捕らえてこういったラグジュアリーブランドがある意味昔お貴族や王族のような役割を自覚しているってことでしょうね。
美しいです。。。

対する日本も負けていません!

今回京都のかなり北のほうにある工房に伺いましたけれども工房といっても住宅街の中にある風情のある一軒屋でちょっと見た目には奥が工房になっているとはわからない感じです。
着物や帯に・・・

TOP写真は2日後にたまたまご自身のお子さんの結納があるとかでそのときにお使いになる着物とかでもうめもくらむような総刺繍です!なにか竜と雲ですが雲が薔薇の花にも見える豪華絢爛な一着で一刺し一刺しに想いがこもった素晴らしい作品です。
もちろん日常使える刺繍もたくさんあります。基本的には着物や帯やバックなどに図案帖の中から図案を選び糸や生地の色を相談しながら決めてオーダーする仕組みのようです。
図案帖の中にはさまざまな季節のさまざまな柄が・・

襟の抜けた後姿も美しい長艸さんが図案帖をめくりながら色々と見せてくれます。実は今回長年長艸さんの帯を1本1本10年以上集めていらっしゃるという私の尊敬する素敵な人生の先輩の女性が長艸さんに訪れるというのに私たち数名がご同行させていただいたという次第でした。
たとえば水仙の帯を・・

私からしたらとても敷居が高くて一人ではとうていお邪魔できないですしお値段もなんだかよくわからないので固唾をのんでみていましたけれど、ご同行者のお二人が帯をお願いすることにされてこれまたびっくり!
たとえばこちらの水仙・・・素敵なお柄ですよね~、お正月にさわやかにしめたいけれど間にあうかしら?ということでお正月にぴったり、もちろん間に合いますよ!ということで刺繍の色や帯の地色をもうそれはたくさんある端切れの箱の中から図案の上に色を並べてゆきます。若草色もこんなにたくさんあるかというほど微妙なニュアンスの違う端切れがならびます。
色のグラデーションが絵画のよう。。

とにかく12ヶ月1本づつつくっていっても合間合間に季節で足りない柄がでてくるそうです!桜や菊といったものはもちろん、ツバメ、和楽器、ハスなどそれは様々なモチーフが。そして京都の方というか関西の方のお色選びは東京の私たちからするとかなりはっきり強めですね~。写真が小さいですが黒布に柿のモチーフの刺繍はもう絵画のような色のグラデーションで素晴らしいできばえにみとれました。

通好み、な稲穂1本。こちらのモチーフはとっても粋ですね!お太鼓のところに一本すーと金の稲穂が。。今回ご注文された方は銀の小さめの稲穂と金の稲穂の2本にしてとちょっとアレンジを加えていました。なにか相談しながらそうやって糸の色をかえたりすこしモチーフを増やしたり減らしたりしてオリジナルの1本をつくるとか
お弟子さんとテキパキと指導

二十歳そこそこのお嬢さんたちは刺繍の学校をでてこうやってこちらで修行されている様子。オーダーの記録も間違いがあってはいけませんので先生の長艸さんがテキパキと指示をだして、ちょっと手が遅かったりすると細かい注意が飛びます。こうやって伝統を継承していっているんですね~
いつかは一本・・・

しかしこうしてアップにしてみると日本の刺繍のレベルの高さがわかりますね。伝統的でありながらモダンな意匠、微妙が色のグラデーションに波打ちひとつない刺繍の出来栄え!どれほどの技術と労力の賜物でしょうか。。Maison Lesageに勝るとも劣らない本物の力がそこにはありますね。。
人生の大先輩の皆様にいろいろ聞いたところやっぱりこういった刺繍の帯ならば無地かすっきりとした江戸小紋がいいわね~ということでした。だんだん歳をとるとほんと無地がよくなるわね~と。ここの帯は本当に何年たっても飽きないし孫にまで渡せるわよ。でもまだまだ柄の好きな着物きなさいね~若いんだらから(?)ということでした。そうか・・私もいつかは一本オーダーしてみようと誓ったのでした。
こちらはフランスの工房再び


このフランスの工房の糸や部材のすごいこと。。そして負けず劣らず日本もすごかったですが、ただ伝統をささえようとするシャネルのような世界的メゾンが国益と伝統を守るためにささえるフランスと孤軍奮闘する日本の工房。まあ日本の工房は私の人生の先輩方がきっと支えているのでしょうけれど。
ともあれ本当に素晴らしい刺繍対決でした。。。

それと予断ですが11月16日まで行われている京都博物館の京へのいざないはMust Go!です~鳥獣戯画が全編みれるのもすごいのですが、わたしのお勧めは平成知新館OPEN記念の国宝級の仏像がずらりとそらった展示です。これは圧巻でしたよ~本当に危うくまた第三チャクラが開いてしまいそうになりました。OPENにあわせて京博が威信をかけた自信作だそうで学芸員さんも一押しだそうです!本当にすばらしいです~~~