梅垣の美しい帯、伝統と革新@こもものや玖 |









カレンダー
カテゴリ
全体 お仕事です ホテル・素敵なお家 インテリアレッスン インターナショナルスクール概論 徒然 茶の湯の愉しみ アーユルヴェーダ 青井的芸術鑑賞 チャリティーズエンジェル 華麗かもしれない交遊録 SiS Beauty 海外大学初心者親のカレッジツアー Movie 健康・ウェルネス 未分類 以前の記事
2019年 06月 2019年 05月 2018年 09月 2018年 02月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 04月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 10月 2016年 08月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 06月 2015年 03月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2007年 09月 2007年 07月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 04月 2006年 03月 お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2019年 06月 14日
京都の西陣の老舗帯屋、梅垣織物さんのお話
渡辺さんにお誘いいただいて少人数でのお話を伺う貴重な機会でしたが、梅垣社長の真剣な物作りに対する姿勢と、絶えず変化しているからこそ何百年と人々を魅了する伝統のデザインのお話に感銘をうけました。 西陣は500年程の歴史があるそうで応仁の乱で焼け野原になった京都で、ゆるい職人さんの連合だそうで、その技術やアイデアはみんなでシェアしていて誰かが独占的に囲っていたものではないそう。糸を作る、織機、染め、箔、そしてそれぞれの工程ごとに、別々の職人さんがかかわり複合的な産業になってゆき、昭和40年ころには西陣産業は1兆円規模もあったそうで、それは当時のトヨタと同じ規模だったそうです。 梅垣の社長さんは職人さんではなく、職人さんにデザインや色などの指示をだす所謂今でいうところのコーディネーター。職人さんにはもちろんAランク、Bランク、Cランク・・・と熟練度に応じてあるそうで仕事の仕上がりも違うのは当然で、同じ下絵を見せてもその感性で仕上がりがまったく違うそう。江戸時代の木版画の原画を元にしたお二方の下絵の写しを見せていただきましたが、これが全く違う!もちらん形はプロなので同じなのですが、紐の1本1本の繊維の立体感や陰影の付けかた、まるで別物の絵に見えます。写真だとその違いが分かりにくいので残念なのですが、実物はもう版画と印刷ぐらいちがいます。 たしかにインテリアでもシーツのデザインですら同じ事はよくあって、同じデザイン画を渡しているのに、思った通りの製品を作ってくれる方とどうしてこうなっちゃうの?という出来映えになってしまう方や工場があるので、私も実感としてレベルは違えどよくわかります。 「3%」が分ける傑作と残念な作品 ![]() また同じ職人さんでも慣れてきたり気分が載っていなかったりしたら悪気なく、気が抜けることがあるそう。先代の社長は80歳過ぎで今でもお店にでるそうですが、社長を譲らてすぐの時のエピソードで朝送られてきた織りあがった帯をみて、「なんか違う、なんかおかしいわ、職人さんに電話して」といわれたそうで、何がちがうのかな?と、思いながらも職人さんに電話されたそう。 職人さんもそこはプロ、手を抜いたんじゃないか、的なことをいわれて「いつもと同じ通りでれす、手を抜いたとかいわれるのは心外ですわ」ということだったらしいのですが、しばらくして電話がかかってきて「あの後よく考えて思い出したんだけれども、その日は孫が来るっていうので確かにちょっとそれに気をとられていたかもしれない、申し訳ない」とご連絡があったそうです。職人さんといってもこの方は機械で織っているいるもので、若かった梅垣さんがみても違いが分からないレベル、それをやはり何十年もの経験がある先代は、手に取った瞬間にどこがどうというのではないけれど「これは違う」とわかったというこのエピソード。帯をおる職人さんもプロならば、それを扱う帯屋の社長もやはりぷろ。プロとプロの職人魂がぶつかるようなお話ですごいなあ。。。と感じいりました。 そして職人さんと帯屋の社長の関係のお話がもう一つ。手を抜く、抜かないというのは意識しているかしていないかは別にして手が慣れてくるとどうしても起きてしまいがちというのは職人さんの世界にもあるそうです。いかに100%以上の仕事をしてもらうかが自分の仕事だとおっしゃっていました。期日や金額が決まっている以上芸術品を作るように無限には時間も技も投資できないのは当然のこと、でもそれをどうにかいろいろ職人さんと話して交渉しながら最高のものを作ってもらう。傑作といってもそれは職人さんの120%の出来ではなく103%だそうです。すこし手が慣れてしまったかな、というものでも97%の出来。97点でもダメなんですね、でも最高でも103点。本当になんてハイレベルのお話なんでしょう。 伝統の柄の一部を拡大して新たなデザインに。。 ![]() この大胆な菊の文様、これは元々は文楽の装束だったそうです。元々は上質な着物は貴族や皇室がきるもので細かい模様のものばかりで一日に数センチしかおれないような高級品、それがだんだんに下の階級におりてきて室町時代?に(この辺が時間がたってちょっと曖昧に。。。)それではやっていられないので、昔の装束の柄を半身に大胆に大きくしたデザインが大流行したそう。そうやって昔の文様が時代によって新しい意匠として受け継がれてきているということです。 西洋でも行われる伝統から革新という手法 ロイヤルコペンハーゲンのこの柄もそうですよね~昔からあるデザインの一部を大きくして大胆にアレンジすることでとってもモダンで伝統に新たな息吹を吹き込む手法ですね。とっても新鮮なのにどこか目にも馴染み懐かしさもあります。 ![]() ![]() アールヌーボーの原画は日本の意匠? ![]() ![]() 目指しているのは100年200年残っていくもの ![]() 梅垣社長自身「私ははまったく自分で手を動かして物を作ることはできないし、自分で新しいデザインをつくってそれが100年200年残るなんてことはとてもできないし、そんな才能もありません。でもここにもう何百年と残ってきたデザインがあるんですわ。やっぱりずっと残ってきたものには力がある。それをそのまま使うのではなくそれを今の時代に合わせてアレンジしていくことが大事。ここまで残ってきたデザイン、意匠だからあと100年や200年はやっぱり残るんちゃうかな、とおもいますわ。それが自分が目指すもの」ちょっとところどころ、梅垣社長のはんなりした京ことばの口調を思い出して書いてしまいましたが、東京語と混じって不自然かもです(汗)が京都ってやっぱりすごいな、と再認識しました。 「京」=「比類なきもの」という意味 ![]() 「京」という言葉はもともと比類なき、最上級のもの、という意味だったそうです。それぐらいの伝統と洗練があってプライドもあるんですね。ずっと変わり続けることで最高級であろうとする伝統だからこそ、こんなにも人々を魅了し、何百年単位で物事を考えられるのでしょうね。今の時代はなかなか伝統産業に厳しい時代ですけれど、この美の蓄積は形を変えて受け継がれていくものと確信しました。 こちらは京都の亀末廣の茶室に見立て杉の箱にはいった「四畳半」というお菓子だそう。問屋さんの方がお土産にこの日もってきてくださったもの。なんという愛らしさ!お本当につくづく感心してしまいました四畳半に見立てた箱に季節の可憐なお花がぎっしり。私はアジサイを真っ先にいただいてしまいました。本当に小さなこれは東京には売っていないような気がします。「比類なき」京の冠に偽りなしですね ![]()
by suiteinstyle
| 2019-06-14 15:40
| 青井的芸術鑑賞
|
ファン申請 |
||