サマースクールが熱かった2013 |

こんにちは、猛暑もまだつづいていますが夏休みはいよいよ終わりですね。。。今週は学校が始まる関係でアメリカに来ています。朝晩は涼しく湿気も少ないもののロスも暑くて外をあるいてるとジリジリと焦げ付くよう。こちらの報告は次回するとして今年の夏はISAK以外にもとっても熱いサマースクールが日本でも開催されていて感動したのでそちらをご報告しておきます。
イエールの大学生を中心にした’GAKKO’

こちらトップ写真のGAKKO.2回目となる高校生向けのサマーキャンプで今年は小豆島で10日間にわたって開催されました。詳細はこちらの記事がよくまとまっています。いや~本当に。写真の古賀君は私の周りではちょくちょくといろいろな人から名前を聞いていたのですが、灘校からイエールにいき現在3年生。世界中から高校生を40人集めてのサマーキャンプをおこなってるわけですけれど企画から人集め資金集めなど全部やってるというから驚きます。
特筆すべきはそのキャンプのあり方。先生という役割の人はおかずに”SENPAI"と”KOUHAI"というくくりにして20歳以下はKOUHAI、それ以上はSENPAIということで誰かに教えてもらうのではなく互いに全員同じ目線で学びあうという場にしたこと。参加した息子によればイエールの学生がこの9月から入学する子も含め9人程度ハーバードから2人が参加し学生は日本人も含めほぼ全員ネイティブだったということです。
これはひとつ本当にとても面白い試みだと思いました。古賀君の名前は彼が高校生だったときから聞いていました。灘校はいわずと知れた日本の名門高校ですが理系がなんと8割を占めそのうちの大部分は医学部志望。母校での講演を頼まれた際に文系出身の谷家がいわれた事の1つは’文系にも面白い可能性があるっていうことを話してほしいということだったらしいです。谷家が入学した年の東大医学部はなんと90名中30名が灘校だったという話で過去10年間の医学部卒業生は2位の開成の2倍の人数をほこるというようなある種異常な状態。。。残り2割の文系の学生も目指すは官僚や弁護士。。
もちろん医学の道や官僚、弁護士を志すのはとてもすばらしいことですが、本当に心からその仕事をやりたいから選んでいる子はどれくらいいるのでしょうか?大多数であればいいのですが後ででてくる黒川清先生と話ていたときに東大の病院に研修に来た子が’本当は医療に興味がないんです”””長い人生今からそれでどうするんだよ”ってきいたら”数学がやりたい”っていうからさやらせたら数学異常にできるから転部させたよ:というような話題がでてました。また親が願書の理Ⅰとかいてあるところに2本棒を足して理Ⅲとして出しちゃったという冗談のような実話もあるようです。
灘高校の医学部の例は象徴的ですけれど、いまだに多かれ少なかれ日本の高校生はなまじ優秀であればあるほど世間的にもっともいいとされている所を自動的に目指してしまっているという現実があるようです。
そんな中海外の大学に留学するのは実は灘校でも古賀君が数人目だそうです。RouteHというベネッセが主催する海外一流大学に進学するための塾の一期生だったそうですが、通常灘で海外に留学するとなると親も周りもなぜ東大に行かないんだ、ということで大反対にあうというような話も聞きます。
東大にいく子供たちがいるのはもちろん素晴らしいことですけれど、18歳で自分の将来の仕事がわかってる子がそんなにたくさんいるはずもなく、本当にやりたい事をなにも狭い選択肢の中からだけで選ぶ必要もないわけです。古賀君の前に後で述べる北川君というこれまたずば抜けた量子力学の天才がハーバードにはいり27歳の若さでハーバードの准教授とかになるか?といわれる灘校生がいます。彼は例外中の例外で
その後に続く灘校生が全員古賀君も含め帰国子女であるのに、北川君は純粋に日本の学校をあがってきたようですが、英語の壁もやはり相当あるということでもあるようです。
灘校というのは本当にある種特殊な学校のようで、英語は話せない現役の灘高校2年生がアメリカの国防省かなにかのハッカー対策のリーダーに選ばれたとか毎年数学オリンピックでは金、悪くても銀をとってくるようです。それもどうもこれは複数の方の証言をまとめると灘校の学校教育がいいからというよりは優秀な子が集まってきていてある種の放任主義の中生徒たちが生徒たち同士で勝手に高めあってこういう結果になってしまってるらしいという、学校教育に対するアンチテーゼのようなことにもなってしまってるらしいという。。たとえば海外のExeter高校なども数学オリンピックとかには力をいれていますが、これは専門のPhdかなにかをもってる数学の教師が徹底的に指導しているというのとは対極にあるような話です。
そんななかこのGAKKOプロジェクトは本当に多くを問いかけてるとおもいます。学校で教育できることって?先生から教えてもらうことって?という命題を突きつけてるわけです。
実はもっと広い選択肢があるんだよ、ってことがわかっただけでもしかしたら選択が変わる子供たちもたくさんいるんのでは?というのと、学校で先生に教えてもらうというある種の受身ではなく、子供たち同士、先輩、後輩という関係で面白いからやるっていうそれだけで後は勝手にすすんでいっちゃうんじゃないの?という話ですよね。教育ってなんなんだ?という根本的な問いです。答えはもちろんひとつではありませんが考えさせられます。
実際参加したうちの息子も怠け者の代名詞のような性格で、行く前は行きたくない、面倒くさい、などと散々にごねていたのですが、行って帰ってくると別人のようにキャンプの楽しさを語り、SENPAIがどんなにすごくてそれでいてどんなにめちゃくちゃかというのを目を輝かせて話してる様子には本当に驚きました。数年後の自分のイメージなども先輩であればもちやすいし、かっこいい先輩なら先生のどんな言葉によりもそれに影響されるのもうなずけます。40人のKOUHAIのみんなともすごく仲良くなったみたいでずっとキャンプ後も一緒に遊びにいったりFBで連絡をとりあったり。ISAKのキャンプも40人ですが40人というのは意外とキャンプのマジックナンバーなのかもしれません。多すぎても少なすぎても難しい。。
H-LABは海外の大学を目指す日本の高校生

原発の国会事故調の委員長としても有名な私も大好きな黒川清先生もサポートするH-LABはやはりハーバードの学生が中心となって日本の高校生のためにおこなわれたサマーキャンプで今年で3回目だそうです。こちらは今年100人もの参加者が居たようですが、黒川先生のブログにもまとめられています。。
こちらのキャンプはいわゆる先輩と先生が両方いるキャンプのようですがハーバードの学生の方が中心になって運営し、いろいろな先輩を呼んでの講演もおこなっているようです。実際にこのキャンプに参加した過去2年の学生の皆さんのうち半数近くが海外の大学への参加を決めているそうで、もちろん興味がある子が参加しているとはいえたった10日間のキャンプでの成果としてはとても大きなインパクトではないでしょうか。
リベラルアーツと海外での視野

黒川先生はもともとは東大医学部の教授でいらっしゃってその後海外の大学で15年ほどすごされて日本に戻りいまや原発事故調委員長をはじめあらゆる場面でばっさ、ばっさと日本の悪い体質や組織を切ってきってきりまくっていますよね。よくぞご無事で。。といつもおもいますが出過ぎる杭は打たれないという典型でもあり、それになにより驚くほど本質的で本当にどの分野にも造詣が深い、まさに専門もありながらリベラルアーツの人という本当に優秀でなければなしえない境地に達していらっしゃいます。。
ハーバードだからとかイエールだからいいっていうもないんだからね!専門分野によってやリベラルアーツの大学でアメリカにはいい学校いっぱいあるんだから。ともおっしゃっていた。確かにそうなんですよね、実はまだアメリカの高校はかなりわかるようになったものの、大学は通り一遍の知識しかなくてあまり私もわかっていません。
今回黒川先生とはある場所でばったりお会いしてそれまであまりお話をしたことがなかったのですがお茶をする機会に恵まれ気がついたら4時間もたっていました。その時1年前にちょうどどしても黒川先生にご紹介しなければ!と思った件の北川君の事を思い出しランチをご一緒させていただくことにあいなりました。
役得だった・・・
自分がただお二人の話を傍聴したかっただけじゃないかというのもあるのですが、本当に素晴らしかった。。北川君というか北川さんは昨年ちょっとお目にかかったときにハーバードから楽天の執行役員として転職するというタイミングのときで、その時灘高校生のときに先が見えてる人生が嫌でなにか先がわからないことをやりたい、自分には考えることをしたいという気持ちがあったので物理にした、というような話をうかがっていました。
3秒でパスワードが解けるスーパーコンピューター
量子力学の物理を専門とする北川さん、普通の今のコンピューターの場合パスワードって組み合わせとかで解くのに1億年とかかかるので安全とされているそうなんですが、彼の発案した量子力学をつかったコンピューターだとそのパスワードがなんと3秒で解けてしまうという話らしく、それを実際ハーバードの別の物理の実験チームが証明したことで有名らしいです。そんな大変なコンピューターですから軍からもお金をもらって研究していたとか(大体の話はあってるとおもうのですが、細部がちがってるかも、お許しください、物理よくわからなくて。。)英語はできずにいったそうですが、そんなことはものともしないほどの才能があった、ということですよね。。理系だったのも大きいとご本人はいってらっしゃいましたが。。
こんな天才がいるんですよね、日本にも。もちろん家族にはハーバードにいくなんて反対されたようですが、普通に(?)東大医学部に行っていたらこの成果はなかったわけですよね。。たぶんもっとたくさんのそういった例が日本全国にあるのではなかろうか?
そして今回そんな物理を人間の直感や行間を読むようなところに当てはめて研究したいということでそういった事例が豊富な楽天に入社されて、すごく楽しいみたいです。
黒川先生と北川さんのお話で日本人でそうやって活躍する若い人の話がいっぱいでてきました。
この動画をつくった人もその一人ですって
’国会事故調ってなに?”
黒川先生が”いいなあ、今からの若い人はこんないろいろ楽しくって”っておっしゃるんですけど’え~、そんなのほとんどに若い人たち知らないとおもいますけど(おまけに今年75歳になるとは思えない活動的な先生のほうがよっぽど楽しそう)”といったら”そうなんだよね、マスコミも日本は悪すぎ。この間記者クラブでスピーチ頼まれたからいってやったんだけど君たちはこの20年で公僕という言葉をつかったことがあるのか?”ってね。。って公僕。。聞かない、そんなことば確かに聞きませんよ。
”だから世界にでなくちゃいけないんだよ。外にでたら初めて本当のことわかる”とおっしゃっていました。
でも私ですら本当にわくわくしてしまうんです、日本の学校教育がだめ大学がだめといわれて久しいですけれど埋もれてる才能もたくさんあって、そしてそんな環境でもこうやって勝手に自分で世界で活躍しちゃってる子たちがいるんだと思うと。。今回はたまたま周りに灘校の子たちがいっぱいいる環境で私は話をきいているのでそれに偏ってしまいましたが、きっと似たような話が日本にはいっぱいあるようなきがします。
学校教育の改革は急務ですけれど、でもツナゲルだけで多くの子たちはきっと活躍の場を勝手にどんどん広げられるならみんなをどんどんつなげてあげたいしつながってほしいなあ。。と心から願います。
写真もなく文章長くてすみません。。。でも夏休みの終わりに皆様にもどうしてもシェアさせていただきたくて。。