平成中村座12月公演で師走気分盛り上がる |
こんにちは、青井です。週末に浅草の墨田公園内にもどってきた平成中村座12月公演夜の部に伺ってきました。浅草という場所は駅を降りたときから別世界感がありますが、また公園内に仮設された会場が江戸時代の歌舞伎の場の雰囲気を再現したような大きな「中村座」というちょうちんに程よい大きさの座席数になにかアトラクションぽいワクワク感が漂っています。「江戸の芝居小屋にタイムスリップしたような愉しさ」とうたい文句はまさにその通り!私は歌舞伎にはあまり詳しくはなく歌舞伎座に伺ったのも1回だけなのですが、庶民の大衆文化だったであろうその原点があるような浅草の中村座、楽しかったです。
演目は3部立てで赤穂浪士の討ち入りも・・
『芦屋道満大内鑑』より1000年生きる白狐が命を助けてくれた男の恋人に姿を変えて結婚して子供までもうけたけれど正体がばれてしまい泣く泣く森に帰っていくという「葛の葉」。瞬時に役を替る早替りや、筆を口にくわえての曲書きも見どころです。二本目は常磐津舞踊『積恋雪関扉』、大伴黒主と小町桜の精が雪の中で繰り広げる幻想的な世界。そして最後は12月にぴったりの、赤穂浪士による討ち入り当日の様子を俳人だった浪士とその師匠を中心に風流をからめて描く『松浦の太鼓』を上演でした。扇雀の狐姫葛の葉の演技が悲しいお話でありながら狐のしぐさが可愛さと凄みが一体になったような迫力で、大きな真っ白な障子4面に別れの歌をその場で墨で見事な書を描くパフォーマンスにも感嘆しました。最後狐になって木の葉舞い散る中花道を帰ってゆく際のその衣装はキャッツさながら。。しかしそれでいて狐のしぐさの解釈も見栄のきり方もあくまでも日本的。
入り口からはスカイツリーもみえます!
そして難病から見事に復活をされた勘三郎が大石内蔵助の親友で吉良邸の隣に屋敷を構える松浦公の役で出演されていましたけどやはり一番多く掛け声が飛んでいました。あまり詳しくないので素人的感想なのですが今回の演目の1番の見所は2本目の大伴黒主の大見栄と桜の精の大立ち回りであったかもしれないのですが、勘三郎さん演じる松浦公の人間味あふれるユーモラスな雰囲気と間がなにか型は十分踏襲しながらすでにそのからは離れていわゆる「離」の状態で歌舞伎といういわゆるもっとも「型」である芸術なのにそこに己が自然にあるという感を受けました。最後には見事討ち入りをはたし雪の降る舞台の後ろが開け放たれ実際の外が見えるという演出で冷気もさ~と場内に流れ込み楽しい趣向でした。やっぱり師走に赤穂浪士!これは否が応にも年末気分も盛り上がりました!
イヤホンの解説があってよかった!
イヤホンの解説を借りたのですがこれのおかげでとっても助かりました。衣装の意味や太鼓や花道の説明などとてもわかりやすく、予備知識がなくても十分楽しむことができました。しかし本当に役者の方達のしなやかな動きや目力、女形の手のしぐさ、足踏みの音、太鼓、豪華な衣装、一つ一つ決め技のように観客の視線を意識した見せ場にただ楽しいだけではない伝統芸能の鍛錬や歴史などに感嘆しました。先日お能をみてところどころ意識が飛んでしまい自分の不甲斐なさに落胆したのですが、歌舞伎はずっと入りやすそうです。NYなど海外でも大評判で今回5月までのロングランという中村座。機会があればまた別の月の演目に是非うかがってみたいです。
年末気分のおまけ
そして年末気分といえば毎年12月恒例でお茶のお稽古での「茶筅供養」も週末にありました。この1年間に使ったお茶筅(抹茶をたてる竹製の泡だて器のようなもの)を燃やしお経を上げ供養をします。お道具1つ1つをとても大切にして感謝するこの行事、1年のお稽古納めとしてその茶筅を燃やした炭でお饅頭を焼いて薄茶をいただきます。この炭で香ばしく焼けたお饅頭が美味しくて・・・。先生のお手前でいただく薄茶とともに特にいろいろあった2011年を振り返り無事であったことや美味しくお茶を飲めている今この時に感謝するのでした。。ほんとどっぷり年末気分です。。