林屋晴三先生ご亭主の茶の湯同好会茶会に出席 |
(お道具は釜 葡萄釜 般若泰樹作 水差 つぼ 花の絵 八木一夫作 蓋 桜内邦子作)
お茶の話になると途端に緊張感が走るのだけれども林屋晴三先生が亭主をされているお茶会が新宿の柿傳で行われるからいらっしゃい、と村瀬治兵衛さんのところの亜里様にお誘いいただき出席した。そもそも一度亜里様のところのお茶会で林屋先生が突然いらしたことがあり場がざわめいていたけれどもなんせあまり知識がないので現代の陶芸の目利きの先生らしいというのはその場に列席していた人達から漏れ聞いていたのだがあまりにお茶の世界に無知ゆえにただその時は正客にえらい人がいらしていた、ぐらいの認識だった。実際何気なくお茶の先生にお茶会に参列することを話したらとんでもない!という話になりましてや8歳の子供を連れて行くなんてということでひと悶着あったのだけれども'子供にこそ本物をみせなくちゃだめ。林屋先生はいま人生とお茶の集大成でその場にいるだけすごいオーラがでているの、それをぜひ体験しなさい、100回の大寄せより1回の本物でどれほど勉強になるか’という亜里様のお計らいで参列させていただくことに・・・。お茶がただ飲めるようになったくらいじゃどうもかなり敷居が高いらしいというのはようやく事前に飲み込めた。林屋先生の大体のプロフィールはこちら
入り口の拝見からいきなり緊張感漂い林屋先生登場で糸がピンとはった!
そして実際本当にすごかった。100回大お寄せより1回の本物というのは入った瞬間体で理解いたしました。枯れるとか侘びとかさびって人にでるとこういうことなんだ・・というあの感じはちょっと説明しがたい。年をとるということが有効に積み重なるとこうなるんだ・・・。お道具もすべてすごかった。はっきり言って全然正客とのやり取りをその場で理解することはできなかったけど出てくる茶碗がいちいちすごい迫力。一番初めのお茶碗は勅使河原宏作。私はお花は草月なのでこれだけにはその場で反応できたが志野筒のやや赤みを帯びた土と白が切り立つような大胆な茶碗。ちなみに私は辻清明作、それも遺作の茶碗だった。こ、これいくらなんだろう、てまた野暮な想像になったけれども数百万はくだらないのではないだろうか・・。お茶碗の写真だけはとれなかったのだけれども加藤唐九朗、鯉江良二、金重まこと、隠崎隆一、高垣篤、中村康平、辻村史郎となっていた。このお茶碗がきまったのが今朝の5時だったんだ、最近なかなか茶碗が決まらなくて・・・と林屋先生がおっしゃっていたけれどもきっとこの選択にも先生の美意識が凝縮されているのだろう。。
花の後ろには本当は2000万円の絵がかかっていた!
お床の拝見も説明していただいたけれども実はお道具も床のしつらえもとてもモダンな印象である意味驚いた。むしろ私にはしっくりくる感じだったけれども。床は二畳もありお軸のかわりに山口薫筆の'キャベツ畑の秋’という小さめの油絵。また値段をいうのもなんなんだけれども2000万円とからしい。奥行きのある床に油絵と藤原雄作の備前の花入れこのはぜた実がまるで花のようなあでやかな秋の投げ入れは全体に非常に力強い印象で洗練されていながら荒々しさがあるお茶会の雰囲気によくあっているように思えた。トップの写真の水差の蓋が銀製だったけれども作者は代々お茶の道具を作っているお家柄だったそうなのだけれども若いころはそれに反発してお茶の道具をつくっていなかったそうなんですが最近はこういうの作るようになってねえ、とおっしゃっていました。水差しと蓋の作者はよくちがいますよね。水差しに合わせて蓋の製作をこういう金物の作家さんに依頼するんですね。。ほんとにすっきりとモダンで美しかったです。もうここからは作者と作品の羅列になってしまいますがなにせ知識があまりないゆえ説明がままならないので悪しからず。しかし経験とは本当にお金では買えないものなんだ。。だって普通にお茶をやっていたら絶対に今この席い参列させてもらっているっていうのはありえなかったわけだから。ほんとにもっと知識があればもっと楽しいのだと思うのだけれども全然知識のない私でもその場の緊張感や空気感、お道具のもっている美しさやそれを手にした感触や重みに圧倒されたもの。本物のラグジュアリーとはもうお金では買えないのであった。しかしこんなこそこそと写真をとっているのはもちろん私だけ。だって記録とか勉強とかではないから。経験だからそういうことはまったく無意味なんだきっと。亭主の世界観と美意識が凝縮させた茶室とそれに答える客人というのはなにか一回限りの贅沢な舞台のようなのでした。それもすごくクローズで濃密。写真とかそういった記録は無意味なそこにいた人だけが味わえるという珠玉の一瞬なんだろうなあ。一応点心のあとにお道具の名前の紙はいただいたのでそれを参考に書いています。
1.与庵 床 後水尾院 御筆 和歌懐紙 花入 唐物古銅写し 鶴首
ネットで調べたら後水尾院は代118代天皇で1611年~1629年在位。母が豊臣秀吉の養女で学問を好み、「伊勢物語御抄」の著作があるそうです。4畳半ほどの狭い部屋で仄暗く天井も低くとても雰囲気がある部屋だったのだけれどもフラッシュのせいとあせってまがってしまったので雰囲気はまったくでていないけれども。。。
2.十畳の間 床 アヒル草文字による 川辺りえ子筆
これもネットによるのだけれどもアヒル草文字とは神代文字の一種で対馬 阿比留家に伝来。また主に法隆寺、三輪神社、鹿島神宮に秘蔵され、現在確確認されているだけでも13種類の書体が存在する。藤原不比等や平将門、源頼朝らがアヒル草文字で書かれた奉納文を伊勢神宮へ献文している。そんなに歴史がある書体らしいのですけど私にはむしろ現代アートに見える。
3.書院 染付け小物 朴 英淑作
本当にふっくらと可愛い。これは大きくみえるけれども10cmくらいの小さなもの。
ちなみにお菓子は栗きんとん 緑屋老舗 お茶は旭日の白でした。。
次回はハロウィンのセッティング四方山を予定しています。ちょっと気楽に。。。これを書かないと先に進めなかったのであわててかいてみましたが私のコメントも写真もなっていないとはおもうのですが今はこれが精一杯なのでした。。精進します。
ちなみに茶の湯同好会のHPはこちら。。細川さんが理事ですね。